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エッグスン・シングスの若き2代目オーナー

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 ハワイ好きなら誰もが知る有名レストラン「エッグスン・シングス」は、今年で41周年。1974年に創業したロコの夫婦から、2008年に経営者が変わったことは、公にはあまり語られてきませんでした。オアフ島に3店舗、グアムに1店舗、日本に12店舗まで店舗数を拡大するきっかけとなったこの人にインタビュー!

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エッグスン・シングス
YNE&T USA LLC, ENT Holdings LLC
オーナー
縄野由夏/Yuka "Lisa" Nawano


神奈川県藤沢市出身。2008年8月、創業者のジェリー&ジャン・フクナガ夫妻からエッグスン・シングスの商標権を引き継ぎ、サラトガ店、サークルホテル店、アラモアナ店を開店。以降売上は600%以上、雇用者数は40人から150人に増加させた。地元ハワイのビジネス雑誌では、女性経営者の部門で賞を受賞した経験も。小学1年から中学1年まで父親の仕事の関係でアメリカ本土に住んだ経験があり、英語が堪能。現在11歳の子どもを持つ母でもある。

★エッグスン・シングスの詳細はこちら


















■ はじめまして!こんなにお若い日本人女性がオーナーだったとはびっくりしました。ユカさんがオーナーになったきっかけを教えていただけますか?

ユカさん:大学生の時のハワイ旅行で初めてお店に行って、 美味しい料理や心地良い雰囲気のファンになったんですよ。日本にもこんなお店があったらいいな、と思いながら、日本で何年か働きました。その後も旅行の度にお店に通い、ある時たまたま私の友人に、創業者でオーナーだったジャンを紹介してもらえることになって。「レストラン や経営の経験はないけど、この店が好き!日本に出店したい」という話を思い切って持ちかけたんです。すでにご主人のジェリーを亡くしていた彼女はリタイアを考えているタイミングで、「ハワイでやるなら」というお返事をいただきました。私が引き継いでからは7年になりますが、今でもオーナーというより一番のファンという感覚ですね。

■ 一番のファン、素敵ですね。すでに人気のお店でしたから、 ほかからのオファーもきっとありましたよね。

ユカさん:ええ、そうですね。たくさんあったなかで私を選んでもらえたのは、最初からずっと働いていた名物スタッフであるヨシさんの後押しが大きかったですね。エッグスン・シングスを心から愛し、守ってくれるのは私しかいないんじゃないか、と言ってく れたみたいで。ジャンは、初めてお店を開けた時の自分自身と私の姿を重ねたのだと思います。ジャンにとってこのお店は、 愛情のすべてであり、ジェリーと一緒に抱いた夢そのものでしたから。その時あったカラカウアのお店は、移転しなければいけない状況で閉まっていましたが、そこで働いていたスタッフを 再雇用することと、どんなことがあっても成功させることを約束したんです。それからワイキキをくまなく歩いた結果、一目惚れした現在の本店サラトガ通り店の場所に決めました。1950年代くらいからあるヒストリカル・ビルディングなんですよ。

でも、実際にサラトガ通り店のオープンが目前に迫ると、「お客さんが誰も来てくれなかったらどうしよう...」と、正直とても不安でした。その分、グランドオープン当日に早朝からたくさんの人が並んでくれている光景を見た時は、涙がでましたね。その日は偶然、創業者ジェリーの誕生日だったんですよ。ジャンが「きっとジェリーも喜んでいるよ」って言ってくれて...。本当にうれしく思いました。

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サラトガ通り本店


■ そんな歴史があったとは...。経験のなかったユカさんが、 従業員の教育をどのようにしてきたのでしょうか?

ユカさん:お店を愛するスタッフが多いのは、教育というよりエッグスン・シングスのカルチャーなんだと思います。ほとんどのスタッフが長い間この店で働いていて、なかには勤続40年のベテランもいますよ。みんな未だにジェリーをとても尊敬しています。自分たちがまだ若くてやんちゃだった頃にこの店で受けた恩義を感じているんだと思います。私はそんなみんながいるから、絶対失敗できないという思いがあって。

■ なるほど、それは素晴らしいですね。でも、事業を拡大していくことに伴い、すべて昔と同じでいいとは限らないのでは?

ユカさん:そうですね。スタッフが私の思いと違う方向に行動しようとする時は、注意をしますが、「絶対にこうして」と押し付けず、見守るようにしています。それで失敗した時に、あの時ユカはこう言っていたな...って、感じてもらえたらいいかなと。私はきっとこの店の「お母さん」みたいな存在ですね。もちろん、経営に大きく関わることは見逃せませんが。昔からエッグスン・シングスのチームとして働いている従業員が多いので、彼らには、私が好きな昔ながらのエッグスン・シングスをそのままやってくれればいいからって言っているんです。

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サラトガ通り本店スタッフと


■ 昔ながらのエッグスン・シングスは、どのようなものですか?

ユカさん:現在ではパンケーキのイメージが強いですけど、もともとのお店は「ハワイの定食屋さん」でした。最近は新メニューとして、コーンチャウダーやカルボナーラなんかも出していますが、これらは全部、昔人気だったメニューをスタッフにヒアリングしながらリバイバルさせたものなんです。これからも気取らずに通ってもらえるお店にしていきたいですね。

■ 以前のメニューとは知りませんでした!フライドライスやオムレツも美味しいですよね。料理のこだわりは?

ユカさん:ありがとうございます。1日に約180ダース(2160個)ほど使う卵は、すべて地元農家から毎日新鮮なものを取り寄せています。卵を使う際は、必ず手割り。割れた状態(中身のみ)や溶いた状態の卵を仕入れる方が労働力も費用も抑えられますが、試食してみるとやっぱり違うので、これは変えられません。もちろんパンケーキも、グレードの高い小麦にこだわってますよ。私がとくにオススメなのは、バナナパンケーキですね。

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リバイバルしたメニュー、カルボナーラ


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オーナーがオススメのバナナパンケーキ


■ なるほど。美味しいものを提供するために手間暇かける愛情が食べる人に伝わっているから、絶えず人が集まる店なんですね。最後に、アロハストリートの読者へメッセージをお願いいたします。

ユカさん:日本からの旅行者の方には、パンケーキを一人一皿ずつ注文いただくことが多いのですが、必ずと言っていいほど残ってしまうので、ぜひオムレツなどのお料理とサイドにポテト、パンケーキを頼み、シェアして食べてみてください。お店の損得に関係なく、せっかくならお店の美味しさを最大限に味わっていただきたいので。おかげさまで今年で41周年を迎えました。今後も、エッグスン・シングスに来たら幸せな気持ちになってもらえるお店を作っていきたいです。ぜひ、みなさまのご来店をお待ちしています。

■ ありがとうございました!

インタビューを終えて
レストランが拡大する早さと勢いからは想像できない、やさしく周りを包み込むような雰囲気のユカさん。でも、お話を聞くにつれ、お店への強い思いや芯の強さが垣間見え、とても魅力的な女性でした。







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