先日のホノルル・フェスティバルでのトークショー「復興は道から始まる〜映像の奥にある真実〜」が大きな話題となった芥川麻実子さん。道路環境プランナーとして活動されながら被災地へ足を運び、東日本大震災と津波により大きな被害を受けた東北の被災地が復興する過程で、いかに「道」が大切であるかを実感しているという芥川さん。「道路」に関する興味深いお話を、インタビューさせていただきました。
アロハストリート(以下アロハ):こんにちは。お忙しいハワイ滞在中に、お時間いただきありがとうございます。早速ですが、ホノルル・フェスティバルでのトークショー、および写真展「復興は道から始まる」を終えていかがでしたか?
芥川麻実子(以下芥川):当日は、とにかく来場されたみなさんが熱心で驚きました。ハワイに住んでいる方々が、大人だけでなくお子さんも基本的なことをいろいろ聞いてくださって。広島にルーツを持つ日系4世にあたるという女の子もトークショーに来てくれて「何階建ての建物までは大丈夫だったの?広島には津波はこなかったの?みんな大丈夫だったのかしら」とまっすぐな質問をしてくれてうれしかったですね。
写真展も、本当に多くの方が見に来てくださいました。写真家の長嶋さんと一緒に被災地をまわり、たいへんな現実と、そこにある絶望ではなく希望を撮影した写真たちです。これまで日本の道の駅で3カ所と、中国の大連でも写真展をしてきましたが、こうしてハワイのみなさんにも見ていただけて本当に感無量です。また今回、スタジオリムの徳重レイコさんをはじめ、多くの方々の尽力によってここまで漕ぎ着けられたことに、心から感謝しています。
アロハ:復興は道から…ということですが、具体的にはどういったことなのでしょう。
芥川:地震と津波で、エリアによっては道路も橋もトンネルも壊れてしまいました。とくに沿岸部の被害は甚大でした。その被災地へつながる道をどうやって確保するかが大きな問題となり、その日のうちに会議が持たれたんです。東北の背骨とも言われる国道4号線を中心に、15本ある主な国道をまず櫛のように開いていこうという「くしの歯作戦」が決行され、そのうち11本を2日間で開くことができた…。その後も作業は進み、15のルートがすべて通じるようになり米軍も入ってきました。
もちろん、作業はとてもたいへんでした。ブルドーザーなどの重機で道を作っていくのですが、作業途中で被災者のご遺体が見つかるわけです。それを安置する棺の到着を待って、ご遺体を弔いながら復興作業を続けたんです。作業している人自身も、家族の安否がわからないような状況の中、道を作り続けました。そうやって、陸だけでなく海路、空路が開かれ、救助隊や救援物資を届けることができるようになった。道(路)がなければ、だれも動きがとれないんですよね。
アロハ:なるほど…。お話を聞いて胸が詰まる思いですが、道がなければ行きたい場所へ行けない、届けたいものが届けられない。伝えたいことを伝えるためにも、道が大切だということですね。当たり前に身近にありすぎて、普段あまり考えたことがなかった「道」の大切さを、再認識させていただきました。
芥川:ええ。そして「道」は物理的なものだけを指すのではないと思っています。たとえば、ハワイのみなさんが継続的に行っている「レインボー・フォー・ジャパン・キッズ」の活動は、日本の子どもたちとハワイをつなぐ橋ですよね。被災地の子どもたちはハワイのみなさんの温かい気持ちを実感して、それを日本へ持ち帰り強くたくましく生きています。そういう道も含め、道路の重要さを見なおしていきたいんです。
アロハ:本当ですね。ハワイの人たちは、震災後の日本を心から応援していますが、その絆も「道」。私たちも芥川さんのお話や長嶋さんのお写真によって、その気持ちを強くしました。
芥川:そう言っていただけるとうれしいです。ハワイからのサポートの声は、被災地にも届いていますよ。スタジオリムのレイコさんらがハワイのみなさんと一緒に被災地を訪れ、フラや音楽で元気づけてくれた時に同行させてもらったのですが、家族も家も思い出の品もすべて失ってどこにも行けず、仮設住宅に引きこもってしまったお年寄りのみなさんが久しぶりに笑顔になったのを目の当たりにしたんです。金銭的な援助だけでなく、その「楽しい」気持ちを思い出させてくれたことに、みなさんとても感謝していらっしゃいました。そういったハワイのみなさんの気持ちに感謝の気持ちを伝えるためにも、今回ハワイでお話させてもらえてありがたかったですね。今後も、ハワイの皆さんからの励ましやサポートを届けるための「希望の道」を作るお手伝いができたらと思っています。
アロハ:私たちも、この先ずっとずっと応援を続けていきたいですね。
芥川:でしたら、ぜひ被災地へ行ってみてください。徐々に復興が進んで、宿泊施設なども整ってきつつあります。被災地で、地元の人と話をしたり地元の商店街で物を買ったりして、楽しみながら実際の姿を感じ取ってみてください。それだけで、立派なサポートになると思います。そういったことすべて、心の道、希望の道につながっていくはずです。
アロハ:今日はすばらしいお話をありがとうございました。またハワイへ来て、いろいろなお話を聞かせてください。お会いできて光栄でした!
芥川:こちらこそ。本当にありがとうございました。十年以上、毎年必ず訪れている大好きなハワイで、このような機会がもてるなんて幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。
■プロフィール■
芥川 麻実子(あくたがわ・まみこ)/タレント、メディアコーディネーター、エッセイストとして活躍した後、道路環境プランナー(交通評論家)となる。2007年、東京都で初めての道の駅である道の駅八王子滝山(八王子市滝山町)の初代駅長に就任。財団法人(4月から一般財団法人)首都高速道路協会評議員でもある。東日本大震災後、被災地の復興活動について道路の観点から現地での取材を続け、2013年ホノルル・フェスティバルにてトークショー「復興は道から始まる〜映像の奥にある真実〜」を開催した。
芥川 麻実子(あくたがわ・まみこ)/タレント、メディアコーディネーター、エッセイストとして活躍した後、道路環境プランナー(交通評論家)となる。2007年、東京都で初めての道の駅である道の駅八王子滝山(八王子市滝山町)の初代駅長に就任。財団法人(4月から一般財団法人)首都高速道路協会評議員でもある。東日本大震災後、被災地の復興活動について道路の観点から現地での取材を続け、2013年ホノルル・フェスティバルにてトークショー「復興は道から始まる〜映像の奥にある真実〜」を開催した。
アロハストリート(以下アロハ):こんにちは。お忙しいハワイ滞在中に、お時間いただきありがとうございます。早速ですが、ホノルル・フェスティバルでのトークショー、および写真展「復興は道から始まる」を終えていかがでしたか?
(写真提供:Studio Rim Hawaii)
芥川麻実子(以下芥川):当日は、とにかく来場されたみなさんが熱心で驚きました。ハワイに住んでいる方々が、大人だけでなくお子さんも基本的なことをいろいろ聞いてくださって。広島にルーツを持つ日系4世にあたるという女の子もトークショーに来てくれて「何階建ての建物までは大丈夫だったの?広島には津波はこなかったの?みんな大丈夫だったのかしら」とまっすぐな質問をしてくれてうれしかったですね。
写真展も、本当に多くの方が見に来てくださいました。写真家の長嶋さんと一緒に被災地をまわり、たいへんな現実と、そこにある絶望ではなく希望を撮影した写真たちです。これまで日本の道の駅で3カ所と、中国の大連でも写真展をしてきましたが、こうしてハワイのみなさんにも見ていただけて本当に感無量です。また今回、スタジオリムの徳重レイコさんをはじめ、多くの方々の尽力によってここまで漕ぎ着けられたことに、心から感謝しています。
(写真提供:Studio Rim Hawaii)
アロハ:復興は道から…ということですが、具体的にはどういったことなのでしょう。
芥川:地震と津波で、エリアによっては道路も橋もトンネルも壊れてしまいました。とくに沿岸部の被害は甚大でした。その被災地へつながる道をどうやって確保するかが大きな問題となり、その日のうちに会議が持たれたんです。東北の背骨とも言われる国道4号線を中心に、15本ある主な国道をまず櫛のように開いていこうという「くしの歯作戦」が決行され、そのうち11本を2日間で開くことができた…。その後も作業は進み、15のルートがすべて通じるようになり米軍も入ってきました。
もちろん、作業はとてもたいへんでした。ブルドーザーなどの重機で道を作っていくのですが、作業途中で被災者のご遺体が見つかるわけです。それを安置する棺の到着を待って、ご遺体を弔いながら復興作業を続けたんです。作業している人自身も、家族の安否がわからないような状況の中、道を作り続けました。そうやって、陸だけでなく海路、空路が開かれ、救助隊や救援物資を届けることができるようになった。道(路)がなければ、だれも動きがとれないんですよね。
(写真提供:Studio Rim Hawaii)
アロハ:なるほど…。お話を聞いて胸が詰まる思いですが、道がなければ行きたい場所へ行けない、届けたいものが届けられない。伝えたいことを伝えるためにも、道が大切だということですね。当たり前に身近にありすぎて、普段あまり考えたことがなかった「道」の大切さを、再認識させていただきました。
芥川:ええ。そして「道」は物理的なものだけを指すのではないと思っています。たとえば、ハワイのみなさんが継続的に行っている「レインボー・フォー・ジャパン・キッズ」の活動は、日本の子どもたちとハワイをつなぐ橋ですよね。被災地の子どもたちはハワイのみなさんの温かい気持ちを実感して、それを日本へ持ち帰り強くたくましく生きています。そういう道も含め、道路の重要さを見なおしていきたいんです。
アロハ:本当ですね。ハワイの人たちは、震災後の日本を心から応援していますが、その絆も「道」。私たちも芥川さんのお話や長嶋さんのお写真によって、その気持ちを強くしました。
(写真提供:Studio Rim Hawaii)
芥川:そう言っていただけるとうれしいです。ハワイからのサポートの声は、被災地にも届いていますよ。スタジオリムのレイコさんらがハワイのみなさんと一緒に被災地を訪れ、フラや音楽で元気づけてくれた時に同行させてもらったのですが、家族も家も思い出の品もすべて失ってどこにも行けず、仮設住宅に引きこもってしまったお年寄りのみなさんが久しぶりに笑顔になったのを目の当たりにしたんです。金銭的な援助だけでなく、その「楽しい」気持ちを思い出させてくれたことに、みなさんとても感謝していらっしゃいました。そういったハワイのみなさんの気持ちに感謝の気持ちを伝えるためにも、今回ハワイでお話させてもらえてありがたかったですね。今後も、ハワイの皆さんからの励ましやサポートを届けるための「希望の道」を作るお手伝いができたらと思っています。
(写真提供:Studio Rim Hawaii)
アロハ:私たちも、この先ずっとずっと応援を続けていきたいですね。
芥川:でしたら、ぜひ被災地へ行ってみてください。徐々に復興が進んで、宿泊施設なども整ってきつつあります。被災地で、地元の人と話をしたり地元の商店街で物を買ったりして、楽しみながら実際の姿を感じ取ってみてください。それだけで、立派なサポートになると思います。そういったことすべて、心の道、希望の道につながっていくはずです。
アロハ:今日はすばらしいお話をありがとうございました。またハワイへ来て、いろいろなお話を聞かせてください。お会いできて光栄でした!
芥川:こちらこそ。本当にありがとうございました。十年以上、毎年必ず訪れている大好きなハワイで、このような機会がもてるなんて幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。
■■■インタビューを終えて■■■
日本では「道路環境プランナー」として活躍され、具体的には八王子市の「滝山道の駅」の駅長をされてもいる芥川さん。「日本は高速道路を走るのに料金もかかりますし、道路からのおもてなしをして道路をもっと好きになってもらえたらと考えているんです」と微笑むその姿に、大きなアロハ・スピリットを感じました。今後のご活躍に期待しています。ぜひまた、ハワイでお会いしましょう!