アロハストリートの人気連載コラム「ピアニストCHIYOの徒然ダウンタウン日記」でもお馴染み、CHIYO FLYNN(チヨ・フリン)さん。5年ぶりの新アルバム「Eternity(エタニティー)」は、ハワイ王朝最後の君主、リリウオカラニ女王をオマージュしたもの。この記念碑的な作品について、じっくりお話をお聞きしました!
チヨ・フリン/Chiyo Flynn
「CHIYO FLYNN PIANO STUDIO」代表。ウクレレプレイヤーのブルース・シマブクロをはじめとする有名ミュージシャンとのコラボレーションも多数手がける。CD「Lea by Chiyo & Friends」を含む3枚のアルバムをリリース。今回の「Eternity」は4枚めのアルバムとなる。
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編集部:アロハ! いつもアロハストリートのウエブコラムでは、ダウンタウンの注目情報を紹介してくださっているチヨさんですが、7月1日、ついに新アルバム「エタニティ」をリリースされました。おめでとうございます!
チヨさん(以下/チヨ):ありがとうございます。
編集部:収録の10曲すべてがピアノ独奏という、ピアニスト・チヨさんの真骨頂といえる内容。しかも、テーマは、ハワイ王朝最後の君主にして偉大な音楽家でもあったリリウオカラニ女王。
左:録音技術のゲイロード・ホロマリアさん
チヨ : はい。前回のアルバム「Lea」が2011年だったので、5年ぶりのアルバムとなったのですが、なかなか「これだ!」というテーマに出会えなかったんです。そんな時、今回のアルバムのコンセプターであるレイコ・T・ロジャースさんから「リリウオカラニ女王をテーマにしたらどうか」というお話をいただいて。それまで全く考えたこともないテーマだったのですが、リリウオカラニ女王が実際にピアノを弾いていらしたことから、ぜひやりたいと思ったんです。
編集部:リリウオカラニ女王といえば、時代に翻弄され、幽閉されたことなど、なにかと悲劇的に語られることが多いですよね。
チヨ : 私も最初はそういうイメージだったのですが、リリウオカラニ女王の研究をされているレイコさんから教えてもらい、女王は偉大な音楽家でもあり、いつでも音楽が身近にあった方だったと知りました。そして、その時々の思いを楽曲に織り込んでいる、と。あの世界的に有名な「アロハ・オエ」は女王の代表曲ですが、そのほかにもたくさんあって、楽譜に残っているだけでも160もの曲をお作りになっているんですね。
編集部:160 曲も!
チヨ : 今回のアルバムは、全10曲のうち9曲がリリウオカラニ女王による楽曲をアレンジしたもの、そして最後の1曲が女王に捧げる完全オリジナル曲なのですが、9曲を選ぶことだけでも大変で(笑)。歴史や時代背景などを意識せず、楽曲だけを見て、私が「これをやりたい」と思うものを選ばせていただきました。
編集部:お恥ずかしながら、「アロハ・オエ」以外の曲は、ほとんど初めて聴くものばかりでした...。
チヨ : 女王の作品は、ハワイのアーティストに演奏されている曲もあるのですが、音源がなく、楽譜しか残っていないものがほとんど。しかも、楽譜には主旋律(メロディ)しかなく、8小節ほどの短い楽曲もあるので、それをたとえば4分ほどのピアノ曲にアレンジするのは、楽しくも難しかったです。
編集部: 8小節を4分半にするって、かなりオリジナルな部分を加えないといけないですよね?
チヨ : そうですね。繰り返しばかりになっても退屈だし、かといって女王の楽曲ですから斬新に変えすぎてもいけないし...と、楽譜を書いては消し、書いては消し(笑)。
編集部:王朝をテーマにした作品を作ることに対して、プレッシャーも大きかったのでは?
チヨ : はい、とても...。コンセプターのレイコさんからも、私たちが始めたことの重大さというのを何度も言われていましたし。ただ、160曲もの楽曲を創るということは、本当にとてつもないパワーと才能、音楽への情熱がないとできないと思うし、そんな方にとって自分の音楽が後世に残され、演奏され、多くの人々がそれを聴くことは、きっと何よりもうれしいことに違いないと思ったんです。
編集部:演奏して楽しんだり、広く多くの人に聴いてもらうことも、リスペクトになりますよね。
チヨ : 楽譜だけが残っていて、もしかしたら誰も聴いたことがないかもしれない曲の中に、とても素敵な曲があったので、それもアレンジし、収録しています。今回の制作すべてにおいて、リスペクトの気持ちは片時も忘れなかったつもりです。
編集部:そして最後の1曲「エタニティー」は、女王に捧げる完全オリジナル曲なんですよね?
チヨ : はい。今回のアルバムを創らせていただいたことはもちろん、ハワイで幸せに暮らせていることへの感謝、天国のリリウオカラ二女王の魂の安らぎ、そして女王の音楽が永遠に残りますようにという祈りを込めて、自分が作れる中でいちばん美しい曲をと思いながら作った曲です。想いが募り過ぎてちょっとくどくなっちゃったりとか(笑)、何度も書き直したのですが、気がついたら出来ていた記憶にすら残っていない最後の方の部分が、いちばん気に入っています。
編集部:すごい...何かが降りてきたのでしょうか。最後の曲も含め、10曲全体を通して、やさしく照らす月の光のような、癒やしと浄化を感じる...そんなアルバムだと思いました。
チヨ : 同じテーマであっても、自分が20代の頃では全く違うものになっていたと思います。いま同じ世界に生きる人たち、そして天国にいる人たちにも届くようにと思って作りました。私のピアノは、よく「どこか懐かしい」と言われるのですが、そんな癒やしを感じてもらえたら、うれしいです。
編集部:どうもありがとうございました!
チヨさんとコンセプターのレイコさんのインタビューはこちら>>
●CHIYO FLYNN "Eternity"/チヨ・フリン「エタニティー」
定価2,500円
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